- マスクの基礎知識
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マスクの正しい付け方をわかりやすく解説

マスクを付けるとき、「どっちが上だっけ?」と付け方で迷うことや、裏表で悩むことはありませんか。同じように見えるマスクでも、企画設計段階から正しく装着した際に効果を発揮するように考えられています。
そのベースになっているのは使用材料と形状の組み合わせで、市場のニーズや生産技術革新などと共にマスクも進化しています。2020年のコロナ感染症の流行に合わせて拙速にマスクを手掛けた業者の中には、既存流通品の模倣で作ったマスクも少なくありません。しかし、このようなマスクでも付け方を間違ってしまうと、せっかくのマスクによる効果が期待できません。この記事では、マスクをしたときに悩みがちなポイントに触れながら、マスクの正しい付け方について説明します。
マスクの裏表の見分け方
マスクを正しく付けるにあたって重要なのは、マスクの裏表をきちんと判断することです。マスクを手にしてから、毎回「どっちが表でどっちが裏?」と迷う人もいることでしょう。
まずは、一般的に流通しているガーゼマスク、プリーツマスク、立体マスク、それぞれの裏表の見分け方について説明します。
ガーゼマスク
平型のガーゼマスクは、裏表が逆になったからといって機能面で問題が生じることはありません。基本的にどちらを表にしても問題はないでしょう。
ただし、表側と裏側でガーゼ生地が異なっている場合、生地目の粗い側を口側にされることをお勧めします。
では、裏表はどのような関係にあるのでしょうか。
- ガーゼマスクは縫製品なので、折目と縫製部分が表に出ると見栄えに影響があるかもしれません。
- キャラクターなどのプリントがある場合は、柄が見えなくなり、プリント面が口側になるために肌触りが変わり違和感が生じてしまいます。
- 洗濯をして繰り返し使いますから、縮みが生じます。表側と裏側で生地目の粗さが異なっている場合は、生地目の粗いほうがより縮みやすい傾向にあります。この面を口側にすれば、顔に沿うように湾曲します。
裏表の説明からは外れますが、いずれにしても、ガーゼ生地は織物としては織目が粗いですし糸撚りも強くないので、柔らかく肌触りも良いと思います。新生児の肌着と同じと考えれば、ガーゼマスクのイメージも変わるのではないでしょうか。
プリーツマスクの裏表の見分け方
プリーツマスクでは、パッケージや個包装の袋から取り出した瞬間「どちらが表だっけ?」とわからなくなるケースが多いのではないでしょうか。特に、白のプリーツマスクで使い慣れていないマスクの場合はなおさらです。
プリーツマスクの裏表は、プリーツの形で判断します。マスクに使われているプリーツのパターンは大きく分けると2種類になります。
ひとつは「サイドプリーツ(階段式)」と呼ばれる形状で、一方向に揃えて折目が付いています。折り目の数から三段プリーツと呼ばれる場合もあります。
もうひとつは「ボックスプリーツ」もしくは「オメガタイプ」と呼ばれるものです。折目が互いに向かい合うような形で、箱ヒダと呼ばれる場合もあります。
「サイドプリーツ」は、横顔の向きに合わせて表の上から下に向けた折目になるように使います。三段プリーツの一段目は鼻に、二段目は口に、三段目はアゴに掛かるようなイメージです。アゴが上下に動いても二段目のプリーツ部分に余裕がありますから、マスクがズレることは少ないでしょう。
「ボックスプリーツ」は、上下に開いた時に出っ張る側が表です。マスクの中央部が山なりに出っ張るように折目が付いていますので、口元に空間ができやすい形状になっています。
こちらも一番下の下向きの折目がアゴに掛かるようにつけてください。
その他、パッケージに裏表の見分け方が記載されていることもあります。また、マスク本体にエンボスやプリントなどを入れて見分けやすくしているメーカーもあるので、参考にしてください。
なお、耳ひもの接着の仕方で表と裏が見分けられるのではと思われる方もいらっしゃるようですが、どちらが裏でどちらが表なのかは、メーカーによっても異なります。「接着面のある方が表」といった説明が商品に書かれていないかぎり、気にする必要はありません。
立体マスクの裏表の見分け方
不織布、布、あるいはウレタンでも、立体マスクは広げたときにふくらむ側(出っ張る側)が表になります。カップ式でない限り折り畳んでありますから、広げれば間違うことはないでしょう。
マスクの上下の見分け方
マスクには上下方向があります。ここではマスクの上下の見分け方を説明します。
ガーゼマスクの上下の見分け方
基本的に上下や左右の違いはありません。
繰り返し洗濯して使いますから、固いチクチクするようなものは入っていません(稀にノーズワイヤーが入っているマスクもあります)。
プリーツマスクの上下の見分け方
多くのプリーツマスクには、顔にフィットさせて装着できるように鼻が当たる部分にノーズワイヤーが入っています。マスクの長い両端を確認し、ノーズワイヤーが入っている方(かたさを感じる方)が上になります。ただし、幼児・子ども用については安全性の考慮からノーズワイヤーを使っていません。
プリーツが階段状になるサイドプリーツは、その向きでも上下がわかります。プリーツは下向きに開くのが正解です。サイドプリーツの向きを間違えたり、開かずに使用したりすることはフィット性に大きな影響がありますのでご注意ください。
立体マスクの上下の見分け方
立体マスクは、口を閉じた時の顔の形に沿うように設計されています。
ノーズバーが付いているものを含めて、カップ(半球状)には鼻筋に合わせる位置がありますからわかりやすいでしょう。
マスクの付け方・外し方
マスクを常時使用する状況でも、マスクをゴミ箱に捨てる際には口から外す必要があります。この機会に、正しいマスクの付け方と外し方を確認しておきましょう。
ガーゼマスクは、鼻と口を覆うようにして耳ひもをかければ完了です。
プリーツマスクは、マスクの裏表と上下を確認したら、中心部を手で押さえながら顔に当てます。次に、マスクと目元の間に隙間ができないように、ノーズワイヤーを鼻に沿わせてフィットさせましょう。片方の手でノーズワイヤー部分を押さえたまま、左右の耳にひもをかけた後にプリーツを下方向に広げ、アゴまで包むようにします。顔に対してずれている箇所がないかチェックしてください。鏡を見ると確認しやすくなります。
立体マスクも同様の手順でよいのですが、口を閉じた状態でしかアゴの位置は合わられません。
マスクを外す際は、マスクの表側に手が触れないように注意して耳からひもを外しましょう。マスクの表面には、飛まつや花粉などの浮遊物が付着している可能性があります。ひもを持つのは、そういった異物を手に付けないためです。
外したマスクは、ひもを持ったままゴミ箱に捨てる、または密閉できる袋や専用ケースに入れるなどして対処しましょう。ポイ捨ては禁止です。
「あなたのマスクを拾えるのはあなただけですから」
マスクの付け方に関する注意点
マスクを付ける際に意識したいことがあります。次の2点です。
隙間がないようにしっかり付ける
ひとつは、顔とマスクの間にできるだけ隙間がないように付けることです。
マスクでは有害粉塵やウイルス飛まつなどを完全に防ぐことはできませんが、そのリスクを軽減することはできます。せっかくマスクをしていても、隙間があったのでは、ほこりや花粉などの微粒子の通り道ができてしまいます。これでは、マスクがフィルターとしての役目を果たせません。
ノーズワイヤーやプリーツを上手に利用して、自分の顔にしっかりとフィットさせましょう。
鼻を出したり、あごに引っかけること(あごマスク)は避ける
息がしやすいようにと、つい鼻を出したりあごに引っかけたりしがちなマスクですが、これは避けたいパターンです。
そもそも、鼻や口を出していたのではマスクの効果はありません。
自分に合ったマスクのサイズの選び方
ガーゼマスク、プリーツマスク、立体マスク、マスクの種類はさまざまありますが、どのマスクでも大切なのは、自分に合ったサイズを選ぶことです。「小さめ」「普通」「大きめ」「こども用」といったサイズ表示も参考になりますし、自分の顔のサイズを測り、適したものを選ぶこともできます。
マスク用の顔のサイズの測り方は、全国マスク工業会のホームページに図解されて書いてありますので参考にしてください。
サイズ表示と実際のサイズは、メーカーにより異なるので一概には言えないのですが、9~11cmの場合はこども用、10.5~12.5cmなら小さめ、12~14.5cmであればレギュラー、14cm以上であれば大きめで選んでみましょう。
マスクの正しい付け方についてお伝えしました。マスクの効果を得るためには、正しく付けることが大切です。そのためにも、マスクの裏表、上下は間違いなく把握しましょう。また、自分に合ったマスクを付けるためには、サイズを選ぶことも重要です。どんなマスクを手にしても正しい付け方ができるように、この機会に顔のサイズを測るなど、自分にあったサイズが分かるようにしておくのもよいでしょう。