- マスクの基礎知識
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マスクのBFE・PFE・VFEとは?

マスクによっては、パッケージに「BFE」「PFE」「VFE」という表示がされていることをご存じでしょうか。「そういえば……」と思い当たる方もいるかもしれません。マスクを選ぶとき、サイズや形状、価格を重視しがちかもしれませんが、BFE・PFE・VFEにも重要な意味があります。この記事で説明しますので、マスクを選ぶときの参考にしてください。
マスクの性能を表す指標
BFE・PFE・VFEはマスクの性能を示す指標です。それぞれ対象とするものが異なり、BFEは細菌、PFEは微粒子、VFEはウイルスをどれだけろ過できるかを表しています。
パッケージに表示されている99%などの数値だけでなく、検査方法と検査機関が表示されていることを確認しましょう。JIS適合表示の有無は目安としても非常に有効です。
BFEとは
BFEは「Bacterial Filtration Efficiency」の略で、細菌のろ過効率、具体的には、約3.0㎛(マイクロメートル)という大きさの細菌を含む粒子を、どれだけマスクでろ過できたかを表します。
空気中の細菌(バクテリア)が、マスクを通して捕集(ろ過)される程度を確認する試験です。例えば「BFE99%」と表示されていれば、細菌サイズの粒子を99%の確率でマスクが捕集し、ろ過できるということです。細菌が原因となる感染症への対応力が高いマスクと考えて差し支えないでしょう。
PFEとは
PFEは「Particle Filtration Efficiency」を略したもので、微粒子のろ過効率、もう少しわかりやすくいうと、約0.1㎛という大きさの粒子が、マスクでどれだけろ過できたかを表します。従来からの捕集(ろ過)効率試験の中でも、最も小さい粒子に対応しているのが特徴で微細粒子に関するものだとお考え下さい。
VFEとは
VFEは「Viral Filtration Efficiency」の略で、試験用ウイルスのろ過効率、数字でいうと約0.1㎛~5.0㎛のウイルス飛まつを含む粒子、咳やくしゃみによる飛沫を、どれだけろ過できるかを表します。
インフルエンザウイルスは検査に使用する粒子よりも小さいのですが、ウイルス飛まつを対象とした試験でもあることから、ウイルスを含む飛沫・粒子の感染症対策ならば参考になる数値です。
マスクのJIS
マスクのJISについても確認しておきましょう。その前に、そもそもJISとは何かについて説明します。
日本産業規格(JIS)は、日本で作られる製品のサイズや品質、測定方法などについて、国が定めた公的規格です。私たちが普段手にしている日用品や家電といった形のある製品のほか、プログラムなどの電子データ、観光や介護におけるサービス、農業生産のマネジメントシステムなども対象となります。
マスクJISの場合は、一般に広く知られている「JISマーク」の表示はありません。その代わりにJIS適合品である旨の適合番号を含めたフォーマットを表示しています。
つまり、JIS適合フォーマットが表示されている商品は、公的規格に適合しているという証です。
では、なぜ今マスクJISが制定されたのでしょうか。
マスクのJIS規格が制定されたのは、2021年6月です。2020年の新型コロナ感染予防という用途に対応する性能要件を整備する必要性が求められたため、制定されました。
それまでもマスクは、咳エチケットや花粉症対策として、あるいは医療現場・介護施設・食品工場などで使われてきました。商品区分としては日用雑貨品で公的規格が整備されていなかったため、性能試験や品質表示の方法はメーカーに委ねられていたのです。
世界的なコロナ感染症の拡大により急増したマスク需要に対応すべく、国内外で多くの企業がマスク事業に参入しました。一部には経験も知識もないままに参入した企業の商品や、ろ過効率などの数値記載方法にも疑惑や信ぴょう性に欠け、優良誤認を誘導している商品も流通することになりました。
コロナ禍でマスク使用を呼びかけるときに、どのようなマスクを選べばいいのかという目安として容易に判断できるようにとマスクのJIS規格が制定されることとなったのです。
具体的には、家庭用と医療用のマスクを対象としたJIS T9001(医療用及び一般用マスクの性能要件及び試験方法)と、コロナ感染対策に従事する医療従事者向けのマスクを対象とするJIS T9002(感染対策医療用マスクの性能要件及び試験方法)が制定されています。
この規格にはいくつかの項目がありますが、そのフィルター機能として設定されているのが、先ほど紹介したBFE・PFE・VFEで、一般用ではこれに花粉捕集効率が含まれます。
医療用マスクでは、すべての項目において基準値内であることを満たさなければなりません。しかし、一般用マスクの場合は、BFE・PFE・VFE、そして医療用には含まれない項目「花粉」のうち、どれかひとつでも95%以上であれば適合となります。
マスクJISには、このフィルター性能要件以外にも安全性などの適合の条件がありますので安心して使用できるようになっています。「マスクの選び方についてポイントを押さえて解説」のページでも触れています。あわせて、ご一読ください。
なお、マスクJISは抗菌・消臭・UV・冷感などの基準を定めていませんので、これらの項目を強くアピールするような訴求表現をした商品にはご注意ください。
マスクのパッケージには、選ぶときに参考となるさまざまな情報が記載されています。BFE・PFE・VFEも、そのひとつです。「ウイルス対策」「花粉対策」など、マスクをする目的がはっきりしている場合は、こういった情報も参考にすることで、より効果的なマスクを手に入れられるでしょう。JIS適合表示にも着目し、より安全で安心なマスクを選んでください。